人と人の交流が持つ力
「国際栄養学会議」は、栄養科学の研究における国際協力の推進を目的とする国際栄養科学連合(IUNS)が母体となり4年に一度開催しています。第22回国際栄養学会議は日本栄養・食糧学会、日本栄養改善学会、日本学術会議の3団体が主催し、1975年の京都大会以来47年ぶりの日本開催となりました。
この第22回会議は2013年にスペイン・グラナダで開催された第20回会議で、ビッドを提出した7ヵ国から最終候補に残った中国・北京、アイルランド・ダブリンとの熾烈な競争に勝利し、2021年9月、東京での開催が決定しました。
しかし組織委員会を中心に準備を進めていた開催1年半前に、新型コロナウイルス感染症の拡大という想定外の事態に直面することとなりました。中止か、オンライン開催やハイブリッド開催かと、組織委員会内部や国際栄養科学連合本部と膨大な議論を重ねる中で、2020年12月に、2022年12月への開催延期を決定。現地開催を実現したいと、まさに藁にもすがる思いで準備を進めました。
オンサイトでの会議開催にこだわったのは、直接会って話をする機会を失ってきた世界中の研究者に交流の機会を提供することの重要性を痛感していたからです。直に会うことで、新しいネットワークが生まれ、ばったり再会したことをきっかけに共同研究を始めたなど、人と人の出会いには大きな力があるのです。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により参加者が激減するのではないかと心配もしました。しかし97ヵ国・地域から3,202人の現地参加(海外1,631人)、59ヵ国・地域から532人(海外329人)のリモート参加、合計106ヵ国・地域から3,734人(海外1,960人)の参加を得ることができました。大学院生や若手研究者、中低所得国からの参加を支援するために設定した7種のグラントや賞に307人の受賞があったことも功を奏しました。
2022年12月の東京に1,600人の外国人を含む、3,200人もの参加者が集まるというエポックメイキングな会議となった第22回国際栄養学会議は、「栄養学の力で100億人を笑顔に!」をテーマに多様な講演やシンポジウム、市民公開講座など充実したプログラムを展開。東京での現地参加がかなわないリモート参加者には、1会場に限り全てのプログラムを視聴いただきました。また1,810題の口頭/ポスター発表はオンライン発表としましたが、現地参加者には会場で発表者との面談コーナーを設けるなどの工夫も行いました。