
全国の研究者、自治体、観光協会、コンベンションビューロー、観光コンベンション関連企業、施設等、MICE・集客交流産業の在り方や課題等を地域の立場から議論する場として2006年から毎年開催され、地域から日本のMICEの提言を続けてきた「国際観光コンベンションフォーラム」が、去る3月に東京都八王子市で開催された。
フォーラムは18回目となるが日本コンベンション研究会は20周年を迎えた節目の年である。今年のテーマは「MICE これまでとこれから」である。今回はこのフォーラムを通じて次の10年を考えてみたい。
日本コンベンション研究会 幹事 太田 正隆
日本コンベンション研究会では、2006年から全国で「国際観光コンベンションフォーラム」を開催してきた。第1回の札幌開催から20年の節目にあたり、改めてMICEを取り巻く世界の振り返りやReviewをしてみたい。
国土交通省の外局として2008年10月に発足した観光庁は、名実共に観光立国を推進する中核として活動を開始。訪日外国人旅行者を2010年までに1,000万人に増加させることを目標にかかげビジット・ジャパン・キャンペーン等の観光立国推進施策を進めていたが、ビジネス目的の訪日観光やビジネスツーリズムの取組は十分な取組みがなされていなかったのが現状であった。
そんな中で観光庁設立前の2006年春から秋にかけて当時の運輸省総合政策局国際観光課(観光庁発足に伴い廃止)のリードで「MICEを通じた観光交流拡大のための連絡協議会」が官民の多くの分野や関係者が集まり「MICE」を考える機会を得るに至った。日本コンベンション研究会は、同年「第1回国際観光コンベンションフォーラムin札幌」(MICEと観光の振興を目的とした全国規模のシンポジウム)を開催。以降、観光とコンベンションそしてMICEについて21世紀のコンベンション等の集客交流のあり方を構想し、アカデミックな視点を基盤に、持続可能な未来へ向けたコンベンションの創造的存在意義を研究することを目的として活動を続け20年を迎えることができた。そして2026年3月3日~ 4日を会期として、2022年10月オープンした多摩地域最大級のコンベンションセンターである「東京たま未来メッセ(東京都立多摩産業交流センター)」(東京都八王子市)を主会場として開催。こうして開催された2026年のフォーラムではあるが、MICE開催を計画するにあたってのリスクマネージメントを実践するような大災害を乗り越えての研究会苦難の20周年でもあった。
2025年2月の徳島大会が終わり次年度の開催地の素案はいくつかあったが、早速次年度の開催の構想段階から計画策定に入った。同年の6月には概ね実施概要が決まり東京都八丈島での開催の準備を始めることとなった。当フォーラムは、過去一度も島しょ部での開催経験はない。MICEの開催地や会場の選定をする場合、移動や施設等の環境や施設が許容できる「最大容量」や「適正な受け入れ能力」キャリング・キャパシティ(Carrying Capacity)を考慮にいれることは必須である。しかしながら開催地選定の必然性が勝る場合には、収容能力をオーバーしても我々はコロナ禍で経験した「遠隔・オンライン参加」や「対面・リアル」を組み合わせた「ハイブリッド方式」という方法で開催することが可能となった。
八丈島は、東京都に属し東京からの南に約287kmに位置する有人離島。山手線の内側ほどの面積の島で車で1周約1時間半、交通機関は竹芝から船で10時間、飛行機なら羽田から55分。2017年頃から本格的な展開がスタートした「TAMASHIMA」*は、東京都の多摩地域(TAMA)と島しょ地域(SHIMA)の魅力を発信する観光プロジェクトである。今回はTCVB((公財)東京観光財団)、八丈町役場・八丈島観光協会等の多大なご協力により開催準備に入ることができた。離島故に飛行機や船利用には輸送人数が限られるため、またお借りできる会場についても本土にあるようなMICE施設は無い。そのため八丈島町庁舎・多目的ホールをお借りできるよう配慮して頂いた。また、宿泊についても一部を除いて小規模の宿泊施設しかない。最終的には現地参加の規模を絞って計画を進め、規模的にはリアル参加(参加者、講師、スタッフで80名程度)として「遠隔・オンライン参加」と併せて例年の参加規模を確保することとした。
*「TAMASHIMA」とは:東京都の多摩地域(TAMA)と島しょ地域(SHIMA)の魅力を発信する2017年から始めた観光プロジェクト
八丈島は2025年10月に連続して直撃した台風22号(10/8~ 9)及び台風23号(10/13)により記録的で猛烈な暴風雨を観測し、甚大な被害を受けた。
家屋の全壊・大規模半壊が発生し、各地で断水や道路の寸断、土石流・土砂崩れなどの被害が発生。自衛隊の災害派遣を含め、八丈町は局地激甚災害の対象に指定される程の甚大な被害であった。
八丈島の復旧復興の見通しが立たないまま、このまま計画を進めても受け入れてくださる八丈島の方々にも迷惑がかかることになるので、実施まで4ヵ月足らずで開催地と会場の手当等早急な計画の再構築に手を付けることとなった。その後の2ヵ月間は八王子市を始め、研究会事務局、関係者等多くの方々のご協力により「八王子MICE円卓会議2026」という形で再構築し、改めて年明けの1月7日に告知することができた。
https://www.japan-convention.net/information/40.html
(この2ヵ月間の大騒動は、数行で語ることはできない。しかし誌面の都合で省略)