寄稿:三浦 鮎子
コロナ禍を経て、イベントの在り方も大きく変化しました。パソコンの画面上や、オンライン空間の中で人と人がつながることができる。この変容は、ライフスタイル、働き方にも大きな影響を与えたことは、皆が感じていることだと思います。
私は昨年末まで、東京を拠点とするスポーツホスピタリティプログラムを提供する専門会社で勤務をしていました。
「スポーツホスピタリティ」とは、プレミアムなスポーツ観戦体験のことを言い、スポーツ観戦をする際に、専用ラウンジ等で飲食が提供され、独自のエンターテイメントプログラムといった特別な体験をすることができ、他では手に入らないギフト等がセットになっている高付加価値の観戦(プログラム)のことを言います。日本では、まだ新しいコンセプトであり、特別な形で、スポーツ観戦が楽しめ、今までとは違うコミュニケーションの場となっています。スポーツを社交の場と活用している欧米では、広く認識されている観戦スタイルで、一般観客から企業・団体まで幅広い客層が利用しています。
日本では、2019年に開催されたラグビーワールドカップにて、本格的に導入されました。それまでは、こういった特別な体験は、スポーツイベントのスポンサーや来賓者のためには用意されていましたが、ラグビーワールドカップ2019日本大会を機に、一般の観戦客向け・企業・団体向けにも販売されました。
販売当初は、そのコンセプトすら認識されていなかったので、認知度を高めるには大変苦労をしましたが、最終的には、予想を超える反響を受け、完売商品となりました。
私は、2017年からこの事業に携わり、ラグビーワールドカップを始め、東京オリンピック、2023年のワールドベースボールクラッシック(WBC)等、国際的な大型スポーツイベントにおいて、ホスピタリティプログラムを観戦体験として提供してきました。その経験を通じて、スポーツは観ることから体験するもの・人と人を繋げるコンテンツであり、観客もスポーツ観戦に多様な価値を見出していることが確認できました。