月刊「MICEJAPAN」

2020年6月号
一都市の事例から見た インセンティブツアーの受入について

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大阪におけるインセンティブ・トレンド
東條 秀 彦元(公財)大阪観光局 MICE専門官

はじめに
3 、4 、5月と新型コロナウィルスの影響のため、国内はもとより世界中でMICE開催が中止に追い込まれました。直近の日本におけるMICE開催状況は良好でMICEそれぞれの分野 質量ともに充実したところでしたが、2020年に入り一気にリセットされてしまいました。しかしながら長かった外出自粛も少しずつ解除され、ようやく対外的な活動が始まろうとしています。経済活動が回復し始めても、MICE産業が本格的に稼働 始めるのは、おそらく21年度くらいからになるのではないかと思われます。復活後のMICE事業は今までにない形態になることも考えられ、リモートでの開催も想像以上に多くなることでしょう。しかしながら現在のコロナウィルスほどではなかったにしろ、我々はこれまでも2002年からのSARS、2012年からのMERSとほぼ10年おきに流行してきたウイルスの影響を克服してMICE産業を活性化させてきました。回復するまで時間 はかかるにしろ、MICEの基本であるFace to Faceの基本は 今後もすべて失われることはなく、新たな対策を講じたうえで復活してくると思います。そのような時期を見据えてこれまで取り組んできたことを振り返り、その中から今後の方向 性を見出すことは決して無駄ではないでしょう。そのような意味で、これからも人間の感性に訴える分野のMICEの中でも、今まであまり実態が分かりにくかったインセンティブツアーの受入に関してデータを基に述べることにします。

インセンティブツアーの位置づけ
企業においてインセンティブは目標を達成したことに対する表彰を目的として実施され、業績を評価するとともに、持続的なモチベーション喚起のために行うもので、多くの企業が社内規定としてインセンティブ制度設けています。さまざ まな実施形態があろうかと思いますが、大きく分けて2種類のインセンティブに分類できると思います。

一つには最もわかりやすい可視化できるインセンティブであり、目標達成度合いに応じて給与や賞与に反映させる、企業によっては高級時計、自動車、マンションと言ったように、キャッシュやものを提供するドライ・インセンティブの手法です。この場合、非常にわかりやすいインセンティブで即効性はあろうかと思いますが、モチベーションを持続させる弱みにかけます。

もう一つが普通では体験できない旅行やテーマパーティー等への参加を提供することで、人の感性に訴えて達成感を喚起し次年度以降も参加できるためのモチベーションを持続させるウェット・インセンティブです。MICEの分野でのインセンティブツアーが、まさしく業績達成者の感性に訴えて他では味わえない機会を提供することです。

インセンティブツアーは企業内の業績達成者に提供されますが、取引先等を招待するいわゆる招待旅行もこのカテゴリーに入ります。このようなツアーを実施するために訪問先の設定、宿泊施設、飲食施設、アトラクション等が吟味され、 通常の観光旅行とは異なる差別化された時間と空間を提供す るインセンティブツアーとなります。そのためツアー催行に 支出される予算も多くなり、受入地域に大きな経済波及をもたらすことになります。インセンティブツアー受入による経済効果を最大限に高めるためには行政、コンベンションビューロー、MICE関連企業等がそれぞれの立場の特性を発揮して連携しながら取り組むことが必要になります。

 


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