月刊「MICEJAPAN」

2020年5月
国際会議開催における ユニークベニュー活用の一事例について

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IEEE VR 2019 大阪グルメナイト( 黒門夜市)

寄稿 : 東條 秀彦

元(公財)大阪観光局 MICE専門官

現在は新型コロナウィルス禍の下、コンベンション産業界も単独では打つ手がないと言ってよい状況下に置かれています。国内外で国際会議、展示会、インセンティブ等の開催が相次いで中止に追い込まれ、会場となるコンベンション施設やホテル等はもちろんのこと、関連産業全体が蒙ったダメージは計り知れないものがあります。しかしながら今のような状況も何れは終息を迎える時期が来ます。終息後は世の中が大きく変化することが予測され、我々の産業界も例外では無いことと思われます。予測ができないような状況になることも考えられますが、今我々ができることは今まで培ったさまざまな経験や蓄積した知識を今一度見直して将来に備えることが重要かと思います。そのような意味からも、昨年、大阪で実施されたユニークベニュー事業の試みを多くの方に知っていただければと思います。

ユニークベニュー事業実施の意義等について

国内でユニークベニューと言う単語が当たり前のように使われだしてどれくらいになるでしょうか? おそらく2008年に観光庁が発足してから本格的に国や地方自治体、ビューロー等で使われだしたことと思います。現在では国内の多くの都市でも積極的にユニークベニュー事業の取り組みがなされさまざまな成果がもたらされています。ユニークベニュー事業の意義や成果をどのように考えるかはさまざまな考え方があろうかと思いますが、一般的には下記のような項目があげられると思います。
・都市魅力のブランドを高める
・MICE誘致に当たっての効果的な差別化
・地域への経済波及効果創出
・MICE主催者、参加者と地元地域との交流促進
・参加者のリピーター率を高める
魅力的なユニークベニューの提示ができる場合、国際会議や企業系イベント等を誘致する際には有利に働くケースは多くなります。しかしながらMICE、特に国際会議を誘致する際にユニークベニューが開催都市決定の最大要因にはならず、あくまでも都市魅力を喚起する重要な要素ではあるが副次的な事項であることを認識しておくことが必要です。ともすれば国際会議誘致に当たってユニークベニューを前面に出して提案書作成や視察等を実施するケースを見受けますが、まずは会議が滞りなく実施できる会場が最重要であり、ユニークベニューは魅力付けとして考えればよいかと思います。通常の場合、会議会場が決定した後に視察等を経て公式プログラムの中に具体的にユニークベニューを使用するかどうかを考えますので、その際に主催者側へ使用条件や費用等を明確に提示でできるかどうかが必要になってきます。

そこで重要になってくるのは国際会議の内容を十分理解して立地、費用、使用条件等を十分考慮したうえで提案をすることです。どのように素晴らしいユニークベニューであっても会議施設から移動に時間がかかりすぎたり、使用ができても現実的ではない料金体系であれば、メニューに提示ができても実際には販売できない商品になってしまいます。

また多くの都市が、パンフレットやホームページ上でユニークベニューを提案していますが、その多くが「このようなユニークベニューがあります」と言う提示の仕方であり、具体的に「このように使用できます」と言ったケースは少ないようです。さらに「ユニークな場所」だけの見せ方が多いようですが、ユニークベニューは「普段、使用が制限されているような場所でどのような設え、内容で公式行事を行うか」などの「ソフト面」での提示がさらに重要であり、魅力的なストーリーに沿ったアトラクション、ケータリング、演出等が、場所と同等に重要視されなければなりません。

 


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