月刊「MICEJAPAN」

2019年10月号
山形精神文化ツーリズム

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7月、山形での精神文化ツーリズム体験取材の機会を得た。東北地方の日本海側に位置する山形県は東西約97km、南北約164km、その面積は全国第9位(9,323.15k㎡)を誇る。南から、置賜、村山、最上、庄内の4つの地域に大きく区分される。

山形県のHPには、「蔵王、月山、鳥海、吾妻、飯豊、朝日と日本百名山に数えられる秀麗な山々に囲まれ、南から連なる米沢、山形、新庄の各盆地と庄内平野を"母なる川"最上川が流れる、美しい自然に恵まれた地域です。そこでは、人の住む集落、市街地と農地や里山が綾をなし、自然と人間が調和して存在する、"もう一つの日本"が広がっています。

江戸時代、俳聖・松尾芭蕉は『奥の細道』の全行程156日のほぼ三分の一にあたる43日間を山形県で過ごし、その旅は出羽三山をめざした"心の旅"とも言われるように、いにしえの昔から、山形県は精神文化の地とあがめられてきました」とある。

山形県では2015(平成27)年3月に発表された5ヵ年計画「おもてなし山形県観光計画」に、精神文化ツーリズムを含む5つのメインテーマ(重点推進テーマ)を掲げており、こうした取組みが欧米豪と中心とする海外観光客にも評価を得ている。

我々は羽田空港から飛び立ち、1時間で庄内空港に到着。ここから酒田方面には空港連絡バスで35~ 40分、鶴岡方面には約28分。タクシー利用ならJR酒田駅、鶴岡駅まで約25分。ちなみに羽田から各4便の発着/日(全日空)、成田からは各1便の発着/日(ジェットスター)が就航。こうして始まった、3泊4日に凝縮された精神文化ツーリズム取材。ここでは庄内地域で体験した「もう一つの日本での心の旅」から、山形での精神文化ツーリズムのMICE活用を考察したい。

禅と山伏修行

龍澤山 善寳寺
曹洞宗三大祈祷所であり、龍神信仰の寺として航海安全を祈願する海運関係者や大漁を祈願する漁業関係者などを中心に信仰を集めてきた龍澤山 善寳寺。鶴岡の美しい山や池を含む自然豊かな6万坪の広大な境内に、大小30棟の堂塔伽藍が善寳寺の1000余年の歴史を今に伝える。中でも1833年に再建された龍王殿や1855年に寄進された五百羅漢堂、1856年に再建された総門、1862年に再建された山門、1880年に再建された龍華庵、1883年に建立された五重塔、1893年に建立された五重塔は国登録の有形文化財だ。

善寳寺では、座禅、昼のお勤め、書道、食事による修行を体験。最初に、修行はトレーニングとは異なる。生きるということは、身体、心、縁、時間、空間などあらゆるものを「受ける」こと。ではどのように受けるか?つかみ取るのでも、積み上げるのでもなく、手放すことで受ける。例えば、暑い日。「今日は暑くて嫌だな」と所感を交えて言葉にするのではなく、「暑い」というあるがままを受け入れるのだと。このように欲や思惑、固定観念などを捨て、自分を空っぽにして受け入れることができる心身をつくるために修行があるのだそうだ。これを実感したのが、座禅のお手本として示された、赤ちゃんのお座り。とは言え、座禅を組む、自分を無にするのは難しい。しかし、なぜか自然と背筋が伸びてくる。

 


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