月刊「MICEJAPAN」

2018年11月号
北海道胆振東部地震による 「ブラックアウト」 から見えたこと

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札幌国際プラザ コンベンションビューロー

「ブラックアウト( Black Out)」─ 9月6日未明、北海道の灯りが一瞬にして消え、闇の世界が広がった。その映像に、誰もが目を疑った。秋の観光で賑わう北の大地を想定外の地震が襲い、ほぼ全域が停電になるという甚大な災害が一瞬にして起こったのだ。いつもの朝が始まるはずが、電気、水道のライフラインが中断し、物流もストップ、信号が点かない交差点では車と人が譲り合いながら行き交った。「想定外」から露呈した課題を、「想定内」として対応していかなければならないリスクマネジメントの重要性を、観光MICE関係者は実感した。

9月6日午前3時7分、北海道胆振東部地震が発生した。震源地は、札幌から約80㎞離れた、胆振地方東部(厚真町)で最大震度7(地震規模マグニチュード6.7)を観測、札幌中心部でも震度4を記録した。札幌市観光・MICE推進部によると、地震発生当時、市内には観光客23,000人以上、うち5,000人ほどの外国人観光客がいたと推定される。札幌市では、急きょ観光客向け避難所6ヵ所を設置し、初日夜の利用者は約1,700人であった。 

今回の地震は、発生時刻が未明であったことから、観光客はほぼ宿泊施設におり行動開始前であったこと、市内中心部の建物等の損壊がなかったこと、季節が冬でなかったこと等が救いであったが、特に、観光都市さっぽろとして、行政、民間事業者の対応・体制について大きな課題と教訓を残した。

札幌国際プラザが災害多言語支援センターを設置

札幌国際プラザ(コンベンションビューロー)は、2013年から札幌市との協定に基づき、災害時に、災害多言語支援センターとして、外国人に対する情報発信などの役割を担うことになっていた。対応策はそれなりに整えられていたものの、事態は想定外の連続であった。 

地震発生後、午前4時半には支援センターを開設し、非常用の蓄電池とポケットWi‐fi を使って、Facebookでの情報配信を開始。職員10人が駆けつけて、停電状況や避難所開設、飛行機や交通機関の情報を英語で発信。入居する民間ビルの停電による一時退去、ホームページ委託先の民間企業のサーバーがダウンするなど、予想外のトラブルが発生して業務の制約も受けたが、グループに分かれて避難所等の巡回も行い(18ヵ所27回)状況把握に努めたほか、相談電話の設置、9日には市民ボランティアによる多言語対応も行った。 

しかしながら、支援センターが最大限に活用されるに至らなかったことも事実である。今回、スタッフの安否確認や出勤・待機命令、スタッフ間の情報共有・事務連絡用に大いに役立ったのがLINEであったことも、付記しておきたい。

 


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