(株)MICEジャパン シニアアドバイザー 岡 雅夫
シンガポールは1965年の独立以来、アジアの経済の中心地として発展を続けてきたが、現在もなおその力は衰えることなく持続している。その最大の理由の一つに、公用語が英語であることがある。加えて、その立地からアセアン諸国との連携にも優れ、多くのグローバル企業がシンガポールをアジアの拠点とする。一見、観光が主要産業のように見えるが、企業にとってはアジアの産業ハブシティとしての役割が注目されている。金融機関も多く集まり、市内中心部はニューヨーク・ウォ―ル街のごとき様相を示す。
シンガポール・エキシビション&コンベンション・ビューロー(SECB)では、7月、東京で、シンガポールの地域的優位性とともに、MICE /ビジネスイベントデスティネーションとして評価されるシンガポールにおける、特に国際展示会都市としての優位性をアピールする「シンガポール国際展示会ビジネスセミナー&懇親会」を開催した。
国際展示会都市としてのシンガポールとビジネス機会
同セミナーをサポートしたシンガポール政府観光局の柴田 亮平 日本支局長のあいさつに続き、シンガポール・エキシビション&コンベンションビューロー(SECB)のディレクターであるアンドリュー・プア氏がプレゼンテーションに登壇。「国際展示会都市としてのシンガポールとビジネス機会」と題したプレゼンテーションのポイントは、以下の通りだ。
1. SECBについて ビジネス/ MICE来場者に優れた経験を創造提供し、優れた国際インフラを武器にビジネス/ MICE環境を確立させることを主眼としている。
2. アジア太平洋地域におけるMICE機会 2050年には、人口32億人を超える大市場へと成長。そこには20億人の中間層以上のマーケットが存在する。GTP(Global Trader Program:オフショア貿易活動の拠点としてシンガポールに卸売の統括会社を置く企業へ対する優遇制度)は、2020年には35%を超える。 MICEは、2016年の7,520億USドルから2023年には1兆2,450億USドルへと大きな成長が見込まれ、中でもインド、中国、そしてシンガポールの伸びが大きく、これにマレーシア、タイ、ベトナム、フィリピンが加わる。 日本はシンガポールへ420億USドルの投資をしており、2015年には既に2,871社の日本企業がシンガポールに進出を果たしているが、これもさらに拡大傾向にある。
3. シンガポールの優位性 世界的にバランスの良い影響力を持ったアジアのハブであり、アクセスの良さからインドへの足がかりになるなどMICE開催地としての強みを持つ。MICE関連訪問者は中国、インドネシア、マレーシアに次ぎ日本は第4位で、5位のインドを含めた重要拠点である。