パリは、ミラノ・ロンドン・ニューヨークと並ぶ4大ファッションウィーク開催地の一つです。近年は、他都市からパリにコレクション発表の場を移すブランドもあり、ファッション業界におけるパリの存在感が増してきています。期間中には、100を超えるファッションショーや見本市、イベント等が開催され、世界中のブランドが新作を発表します。 本稿では、日本貿易振興機構(JETRO)が、2019年春夏シーズンのパリ・メンズ・ファッションウィーク(期間:2018年6月19日から24日まで)に合わせて展開した新たな取り組みをご紹介します。
ファッション分野の展示会は「合同展」と呼ばれ、春夏(SS)・秋冬(AW)の買い付けシーズンにあわせ、各都市で開催されます。小売店等のバイヤーはシーズンの始まりから終わりまで、各都市のファッションウィークに足を運び、合同展などで商品の仕入れや新規ブランドの発掘を行います。メンズの買い付けシーズンは春夏が6月から7月、秋冬が1月から2月で、ロンドン、フィレンツェ、ミラノ、パリ、ベルリン、NY、と忙しなく飛び回るのです。
メンズ・ファッション分野の展示会は、フィレンツェ(伊)の「Pitti Uomo」が有名ですが、パリでの代表格は「MAN Paris」と「Tranoi Paris Men's」です。シャルルドゴール国際空港の近くにはビッグサイトの3倍の広さのNord Villepinte国際展示場がありますが、「MAN Paris」と「Tranoi Paris Men's」はこの大型展示場は使わず、ヴァンドーム広場にある市内の高級ホテルやブルス(旧証券取引所)と呼ばれる歴史的建物が会場となります。出展料は他分野の展示会に比べて高額ですが(一例:9㎡で約85万円)、出展者には主催者企画のセーヌ河クルーズやレセプションが案内されるなど、パリならではの華やかさもあります。
ファッション分野の合同展の多くは、主催者審査を通過したブランドのみがブランドの特徴からカテゴリー分類をされて、出展スペースを割り当てられるので、特別な企画展等の取り組み以外で、国別パビリオンはあまり見かけません。それゆえ、主催者審査では自社ブランドのコレクションをまとめたルックブックが必須で、ブランドの特徴やイメージをビジュアルでアピールする必要があります。