急激な経済成長を遂げるアジア諸国にあって、空路4時間圏内に人口20億人の市場を擁する東アジア・東南アジアの中心に位置する「沖縄」。リゾートアイランドとしてのイメージが強い沖縄県だが、今、英語を公用語に世界最高水準の科学技術に関する研究及び教育を行う沖縄科学技術大学院大学(OIST)をはじめ、学術・研究を含むアジアのビジネスハブとしての一面に注目が集まっている。
沖縄県は、好調な観光分野をはじめ、発展するアジア市場を取り込む千載一遇のチャンスと捉え、1)アジアをつなぐ、国際競争力のある物流拠点の形成2)世界水準の観光リゾート地の実現3)航空関連産業クラスターの形成4)アジア有数の国際情報通信拠点"スマートハブ"の形成5)沖縄からアジアへとつながる新たなものづくり産業の推進を重点戦略に掲げる「沖縄県アジア経済戦略構想」を推進。また、農林水畜産業、先端医療・健康・バイオ産業、環境・エネルギー産業、地場産業・地域基盤産業の4つの産業についてもアジア市場を取り込んだ成長戦略を掲げ、さまざまな施策を展開中だ。
このような中、入域観光客数がハワイを上回った沖縄の勢いを見込んだホテル事業者が、沖縄本島、石垣島、宮古島を中心に投資を活発化させている。さらにここ1~2年、中城湾港新港地区工業団地には総合物流センター、道路貨物運送業、建設機械卸売業、医療機器、自動車部品製造業、バイオマス発電など物流や高度技術分野の企業の進出がめざましく、沖縄の地理的優位性や発展可能性を見据えて多様な企業が沖縄への投資を始めているのだ。
進化するビジネス環境
アジア各地と週200便以上の直行便が往来する那覇空港では、2020年3月に完成予定の第2滑走路のほか、国内線と国際線ビルを連結するターミナル整備も進められている。また、日本とアジア主要都市をスピーディに結ぶ国際物流ハブとしても機能している。2018年には空港内に航空機整備施設を整備し、航空関連企業の集積も進行中だ。那覇港では2018年度に那覇港総合物流センターが整備され、クルーズ船第2バースの整備も予定されるなど、沖縄県における国際交流・物流機能は着実に強化されている。
空港からのアクセスでは、2018年3月には沖縄本島西海岸をつなぐ浦添北道路が開通したことで、空港から沖縄コンベンションセンターまでの所要時間は約20分へ短縮されたほか、2019年開業予定のモノレール延長事業をはじめ、複数の国道バイパス整備や那覇空港自動車道延長整備が進められているなど、課題とされてきた交通の利便性改善が図られている。