月刊「MICEJAPAN」

2017年7月号
特別寄稿 アスタナ国際博覧会訪問の勧め

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桜井 悌司 元日本貿易振興機構 監事

アスタナ国際博覧会は、2017年6月9日(金)にカザフスタン共和国の首都アスタナ市で、プーチン大統領、習近平国家主席、モデイ・インド首相、フェリペ6世スペイン国王等15名以上の国家元首の臨席の下に華々しく開幕し、翌6月10日(土)から9月10日(日)まで、93日間にわたり開催されている。筆者は、セビリャ万博以来のすべての国際博覧会を見学した。アスタナ国際博覧会には、6月13日(火)から17日(土)まで滞在し、日本館等のご協力もあって、ほぼすべてのパビリオンを見学した。以下は、その印象記である。

1) アスタナ国際博覧会とは

初アスタナ国際博覧会の概要は、表1の通りである。ご承知の通り、国際博覧会には、5年に一度開催される大型の博覧会である「登録博覧会」(昔の一般博覧会)と登録博覧会と次の登録博覧会の間に開催される小型の「認定博覧会」(昔の特別博覧会)がある。アスタナ博は、この小型の「認定博覧会」である。セビリャ万博以降の「認定博覧会」は下記の表2の通りである。 

表2でもお分かりのように、面積的にも入場者数、参加国・国際機関数にしても、小規模である。テーマは、「未来のエネルギー」というもので、産油国カザフスタンとしては、当然の選択であろう。エネルギーをテーマとした過去の博覧会をみると、1982年に米国のノックスビルで「世界の原動力としてのエネルギー」がある。環境をテーマとした博覧会はかなりあるが、エネルギーをとりあげた博覧会は2つだけである。

アスタナ国際博覧会は、2012年11月のBIE(国際博覧会事務局)総会で、ベルギーのリエージュとの競争に勝った。中央アジア・CIS(独立国家共同体)では最初の開催であり、166年の国際博覧会の歴史の中で欧米・豪州以外では、日韓中に次ぐ4番目の開催国である。通常国際博覧会の開催国・開催都市と言えば、大抵の人が知っている先進国の都市であるが、カザフスタンやアスタナは、知名度が高くないと思われるので、少し紹介してみよう。

2) カザフスタンとアスタナ市について

カザフスタン国は、ユーラシアの中心地で、面積が日本の約7倍、人口は、約1,800万人と少ない。人種構成は、カザフ系が66%、ロシア系が21%となっており、その他の少数民族が続く。宗教は、イスラム教が70%、ロシア正教が26%となっている。大統領は、ナザルバエフ氏で、1991年から26年間、その地位にある。

最新のCIA統計によると、日量165 万バーレルで、堂々世界15 位の石油大国である。当時の石油の価格を見ると、2011年、1バーレル当たり95.05 ドル、2012年は94.14ドルと絶好調の高値であったのが、2015年以降は、油価は5 0ドル前後と下落しているので、財政状況は苦しい中での開催である。なお、1人当たりのGDPは10,426ドル。
 
アスタナ市はカザフスタンの首都で、1997年に遷都され、都市開発には建築家の黒川 紀章氏が関与し、新しいビルが次から次と建設されている。アスタナ空港も、黒川氏の設計である。人口は、約90万人。市内には商業的なポスター、看板が無く、極めてクリーンな印象で、我々のイメージの新興国・発展途上国とは思えない。1日ツアーに充てるとすれば、ホテルで車をチャーターして、「バイテレク・タワー」、「平和と調和の宮殿」、「ハズレット・スルタン・モスク」、「国立博物館」、「独立宮殿」、「アスタナ・オペラ」等を見学することがお勧めである。


 


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