インセンティブはロングホール
アジアにも高い関心
北米は世界で最もインセンティブが活発で先進的な地域であるが、今回も 「Imex America」には多くの北米インセンティブバイヤーが参加し、世界中のセラーと活発な商談を繰り広げた。数名の 北米バイヤーに話を聞くと、ここ最近は ヨーロッパの政治的リスクを懸念して、ロングホールのデスティネーションとし てアジアが台頭してきているという。こ れまでのヨーロッパへのインセンティブ の件数が減る一方で、アメリカ国内やカ リビアン方面へのショートのインセンテ ィブとアジア方面へ向かうロングのイン センティブへ2極化してきている傾向が あり、これまであまりアジアでインセンティブを開催した経験がない企業も、これを契機にチャレンジする機会が増えてきているとのことだ。
一方で、北米のバイヤーにおけるビジネスイベントのデスティネーションとしてのアジアのプレゼンスは欧米のそれに比べ低く、ビューローや各サプライヤーに関する情報が絶対的に不足しているのが現状であるという。このような状況の中で、SECB、mehk、TCEB、MyCEBといったアジアの先進ビューローは、一早くセールスオフィスを北米に開設するなどして、バイヤーと定期的なコミュニケーションを取りながらデスティネーションのプレゼンスを高めてきている。
しかしながら、北米のバイヤーからはアジアにおけるDMCとのビジネスにおいて難しさを感じているという声も上がっており、北米のビジネスモデルをきちんと理解したうえでのアプローチが重要であることは明らかである。北米のバイヤーが求めているのは観光ではない “Wow”ファクターによるビジネスの前進であり、彼らが最終的に求められているのはインセンティブ開催によるセールスの向上やスタッフのリテイン、マーケットシェアの向上などである。インセンティブ“トリップ”そのものはその目的達成のためのツールでしかなく、主催企業の観点からは、観光のようにトリップをすること自体が目的ではない。北米のバイヤーによると、アジアのDMCに対して都度出てくる不満が、観光的なアプローチでしかプロダクトを提供できないという点であるという。インセンティブを科学的に捉える成熟した北米のバイヤーに対しては、課題解決のためのROIをきちんと示し、彼らのビジネスを理解しているということを示さなければならない。
逆にいえばこれらをきちんと遂行できるビューロー、サプライヤーを有するアジアのデスティネーションは大きなチャンスを迎えているということであり、ぜひ日本のデスティネーションにもこの機会を最大化し、ロングホールからのインセンティブ誘致に繋げてもらいたい。