7月26日(火)、27日(水)の2日間、シンガポールのSands Expo & Convention Centerにおいて「PCMA Meetings Forum Singapore」が開催された。 PCMA (Professional Convention Management Association)及びSECB (Singapore Exhibition & Convention Bureau)が主催する今回のフォーラムでは、主に学協会のエグゼクティブが学協会運営における課題 をシェアし、どのように解決しようと取り組んでいるかについてディスカッションした。今回は、そのフォーラムの内 容をレポートするとともに、学協会の発展に取り組む学協会エグゼクティブにとってのシンガポールの価値に迫る。
「コンベンションビューローにとっての国際会議誘致の目的は、できるだけ多くの国際会議を誘致して、参加者による現地への経済波及効果をもたらすことである」というように、アジアではレガシーインパクトについて言及をしながらも、実際のところはこの一点に重きをおいてデスティネーションマーケィングを行なうビューローがまだまだ多い。
しかしながら欧米、そしてシンガポールをはじめとする一部のアジア地域のビューローは、誘致すべき対象である学協会の「生態」をきちんと理解し、アプローチすべきターゲットとなる学協会に対して適切に訴求を行うことで、国際学協会からの信頼を得て、先進デスティネーションとしての地位を確立している。
今回のフォーラムにおいて取り上げられた内容は、現在、学協会が直面している課題のシェア、具体的には収入源の多様化やそれに関する学協会自体の国際化、次世代プロフェッショナルの取り込みなどであった。
一例を挙げると、ワシントンDCに拠点を置くHeat Rhythm Associationは、既にメンバーの50%以上がアメリカ本土以外にベースを有する。海外でコンベンションを開催することによりポテンシャル国からの会員を獲得(特に次世代のプロフェッショナル)し、資格やトレーニングといったプロダクトを展開していくことが大きな課題となっているという。
このHeat Rhythm Associationも、他の学協会と同様にRFP(Request For Proposal)をデスティネーションへ公開し、プロポーザルを受け取ってデスティネーションを決定している。RFPには協会の現状やビジョンが丁寧に説明されているわけではないが、デスティネーションには、当然、これらを理解したうえでプロポーザルが作成され、提案がなされることを期待している。HeatRhythm Associationのイベントプランナーによると、メンバー拡大という観点からアジア地域へは高いポテンシャルを感じており、実際にアジア各国でのコンベンション開催を希望しているが、上記のように協会の"生態系"を理解したう えでのアプローチを期待できるデスティネーションは、アジアではシンガポールを筆頭に限られているという。
近年、日本においても「このように素晴らしいユニークベニューが、、、このようなプレ・ポストツアーが開催可能、、、」というセールスコメントを見受けることが多い。観光庁もユニークベニュー開発に積極的な取り組みをみせている。このようなアソシエーション向けのプロダクト開発はもちろん重要であり、時としてデスティネーション決定に大きな影響を及ぼす。