月刊「MICEJAPAN」

2016年7月号
座談会 国立京都国際会館が果たす京都、日本の未来創造

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50年前、わが国に国立の国際会議場「国立京都国際会館」が誕生した。日本における国際会議の歴史の扉を開いた国立京都国際会館のこれまでの歴史は、国際会議を通じて世界における我が国のプレゼンスを高め、わが国の発展の礎を築く道のりだった。

そして現在も、伝統と先進が共存する京都、さらに自然環境に恵まれた宝ヶ池という立地に加え、幾多の国際会議の誘致・開催を 通じて培ったノウハウやトータルサポート体制を充実させ、国内外の主催者から「会議を成功させる会場」として高い評価と支持を 得、「第23回 世界神経学会議」、「第25回 ICOM(国際博物館会議)大会」をはじめ、数々の大型国際会議の誘致にも成功している。

そこで国立京都国際会館の新たな出発を機に、国際会議場に課せられた役割、国際会議の未来創りを考察する。 一方、アジア太平洋地域は252億米ドル(約3兆円)で前年比2.8%増と成長を持続したものの、成長率はこれまでに比べ大きく鈍化した。地域的にみると、ヨーロッパ、南北アメリカは前年割れ、アジア以外では中東が前年比1%増で辛うじてマイナスを免れた。

FantasticでSpaciousな国立京都国際会館

川島 国立京都国際会館が今年、創立50周年を迎えられます。言うまでもなく、地球温暖化防止京都会議(COP3)や世界水フォーラムをはじめ数多くの国際・国内会議開催会場として知られる国立京都国際会館は、JAPAN MICEを牽引する国際会議場です。私も前職の時に、1976年の国際出版連合会議、1978年の国際眼科学会、1981年の世界神経学会議をはじめ国立京都国際会館には何十回もお世話になりました。

宝ヶ池の自然豊かな閑静な地にたたずむ壮麗な国立京都国際会館は、誰もが認める日本を代表する国際会議場です。国立京都国際会館で開催される国際会議は、JNTOの調査にもあるように外国人参加比率が日本一の本格的な国際会議であることが特徴で、2015年のICCA統計でも、京都は東京に次いで第2位の開催件数を誇る開催地であることから、まさに京都、そして国立京都国際会館が国際会議のメッカであることがわかります。

そこでまずは木下館長から国立京都国際会館創設の経緯、意義、50年の歴史を振り返り、国際会議場が果たしてきた役割についてお聞かせいただきたいと思います。

木下 館長に就任して4年になりますが、私は国土交通省、旧建設省に入省してこれまでを過ごしてきました。国際会議場建設経緯や意義をお話させていただくにあたり、戦後のインフラ整備を振り返りたいと思います。台風の襲来で年間1,000人以上の死者が出た昭和20年代、戦争で荒廃した国土の治山治水のインフラ整備が始まりました。昭和30年代になると、国土発展の動脈となるアクセスの整備が始まり、国際会議場建設が話題となったのもこの頃です。わが国の閣僚が海外で国際会議に参加する中で、「わが国にも国際会議場が必要ではないか」と議論が始まったと聞いております。

30年代後半には、いよいよ建設場所が検討され、東京はすでに大都市であり、関西、中でも日本の伝統文化都市・京都に白羽の矢が立ちました。その京都の中でも宝ヶ池のほとり、比叡山を背景とする絶好のロケーションが選定されたことは、先見の明があったと感じています。こうして昭和41(1966)年5月21日、国立京都国際会館はオープンを迎えました。以来50年。本日は50年を振り返ると共に、新たな出発に際し、皆様からアドバイスもいただければと思います。

さて国立京都国際会館の50年の歴史を回顧することは簡単ではありませんが、実績から捉えるとこれまでに16,000件の会議が開催され、1,100万人の参加者が訪れています。この数字からも、大変大きな交流の場を提供してきたことがお分かりいただけるでしょう。開催いただいた会議を分野別にみると医学系会議が圧倒的に多いのですが、こけら落としの日米貿易経済合同委員会のような経済関係の会議、開催件数は減少していますが宗教・思想関係の会議、COP3に代表される環境関連会議、このほかにも文化・芸術関連会議と幅広な会議を開催していただいております。

今後は2019年にラグビーのワールドカップ、2020年にオリンピック・パラリンピック、2021年には関西で生涯スポーツの世界大会ワールドマスターズゲームが開催されることから、これらのスポーツの祭典とリンクした健康やスポーツなどのイベントの誘致・開催により、レガシー効果の最大化に貢献していきたいと考えています。来年には36年ぶりに同じ国立京都国際会館で国際神経学会議を開催いただきますが、これからは「心」のケアも重要な社会課題です。

このような時代にあって、50年の歴史を持つ国立の国際会議場、まさに日本における総本山としての使命を全うしようと取り組む中で、海外からの訪問者にWonderfulではなくFantasticと表現いただいたことが非常にうれしく、これからもFantasticな国際会議場としてのさらなる充実を図ってまいりたいと思っています。

川島 ありがとうございました。外国人参加者がFantasticな国際会議場と評されているというお話ですが、確かに私自身も国立京都国際会館はSpaciousと感じており、総本山にふさわしい荘厳な国際会議場だと思います。

 


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