大阪市長 吉村 洋文 氏VISIT JAPAN大使/川島アソシエイツ 代表 川島 久男 氏
川島 世界中でMICEが注目され、日本でも昨年12月1日、安倍首相が議長を務める「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」の第1回ワーキンググループ会合が開催され、座長の菅官房長官をはじめ、石井国土交通大臣、観光庁長官、関係省庁の局長クラスが出席してMICEの課題と解決策が議論されました。日本政府も本腰を入れてMICEに取り組む中、本日は吉村市長に、大阪におけるMICEの現状と今後の取り組みについてお話を伺いたいと思います。まずは増え続ける訪日外客についての現状分析、さらなる拡大に向けたお考えをお聞かせいただけますか。
吉村 訪日外国人の増大要因として円安やビザの緩和が大きな影響を与えていることは明らかです。しかし特に大阪、関西においては、それだけではないと感じています。2012年、それまで赤字空港だった関西国際空港が伊丹空港と経営統合され、民間に経営権が売却されました。これにより多数のLCCが就航するなど、関西国際空港の活性化、空の玄関口として整備が進みました。24時間稼働する国際空港、4,000m級の滑走路、さらに新たなターミナルの増設計画など、わが国の国際拠点空港としての機能強化により、関西国際空港の強みが活かせるようになりました。これが、大阪への訪日外国人伸長の大きな要因の一つと分析しています。
加えて大阪は、歴史的・文化的な遺産が豊富な関西の中心に位置します。こうした環境に加え、特徴のある食文化、また多様性を受け入れる親しみやすい大阪人気質のおもてなしが、外国人を惹きつける大きな要素と考えています。
一方、課題としてはナイトライフの強化と認識していますが、2020年までに来阪外国人を650万人とする当初目標も、既に昨年の速報値で716万人に達し、訪問者のリピート率の高さが大阪、関西への外国人訪問数伸長の要因の一つになっています。
もう一つの特徴的な取り組みが、大阪観光局の設置です。大阪では大阪府と大阪市が同じ方向、目線で政策を展開しており、府市合同で設置した大阪観光局は、積極的なMICE誘致に取り組み、国内外で戦略的なプロモーション活動を展開しています。
また昨年末で大阪府域4,300ヵ所にフリーWi-Fiスポットを整備するなど、受け入れ環境の整備も進んでいることから、大阪では観光分野はもとよりMICE分野においても外国人訪問者数が拡大しています。観光を基幹産業と位置付ける日本、そして大阪においては、高いポテンシャルを基盤にしっかりとした政策を打つことで、外国人訪問者数は増え続けると考えています。