
名古屋市は、東海地域のMICE誘致力と受入環境の強化を目的に、JR東海とMICE分野における連携協定を締結した。MICE開催支援と共同プロモーションを二本柱とする協定は、「名古屋市 観光・MICE戦略2028」がめざす名古屋固有の都市資産を活かし、他都市では再現ができないMICE開催価値を創出する「名古屋ならではの"どえらい"MICE」の推進に、交通そのものを都市資産として組込む実行フェーズとして注目される。
締結式で挨拶に立った名古屋市 観光文化交流局の佐治独歩局長は、「日本最大級のものづくり産業が集積する名古屋は、武将文化や祭り、ポップカルチャー、食文化など、歴史と創造が交錯する都市です。国内外の交流、人材育成、都市間連携、文化施設ネットワーク、多言語対応などを横断的に進め、来訪者の体験価値を高める取組みを進めています。また2026年には大河ドラマの放映に合わせた大河ドラマ館の設置など、来訪者の体験価値を底上げする取組みも進めています」と、名古屋の都市特性について語った。
その上で、「観光・MICEを都市の成長エンジンと位置付け、MICEの誘致支援、受入環境の整備、都市ブランドの発信を一体で強化し、都市経営の中核事業としてMICEを推進していく」と方針を示し、都市間競争が激化する中で「移動がしやすい、集まりやすい、滞在が豊かという総合的な体験価値を高めることが、開催地として選ばれる条件になる」と強調した。
一方、今回の協定は、MICEを新幹線需要創出の重要な成長分野と位置付けるJR東海にとっても重要な意味を持つ。
東海旅客鉄道(株) 営業本部の秋山誠担当部長は、「ある主要都市のコンベンション施設が年間約1,890億円の経済効果を生み出しているという記事を読み、MICEの影響の大きさを改めて実感しました。都市間競争が激化する中で、日本の都市が選ばれずに悔しい思いをする場面も見てきました。だからこそ、新しい視点で官民が一体となった取組みが必要だと考えています」と語り、MICEが地元経済にもたらすインパクトの大きさを強調した。
さらに、「ものづくりの基幹産業を軸に歴史・文化など、名古屋には世界に誇れる資源が数多くあります。東海道新幹線、リニア・鉄道館、名古屋マリオット アソシアホテルなど、JR東海グループの資産も含め、多様な資産を掛け合わせることで、名古屋は非常に魅力的なMICE都市になり得る」と、名古屋の持つ都市資産のポテンシャルに期待を寄せた。
今回の連携協定における施策の柱は以下の2点である。
①新幹線利用を前提としたMICE開催支援制度
名古屋市では、国際会議等への開催支援制度を設けている。JR東海は新たに東海道新幹線の利用を前提とした開催支援制度を創設し、MICE開催に要する費用の一部を支援する。